冬がやってきて、温もりが恋しくなる。

きみに近づきたくて、
ちょっかいを出して失敗した。

気になるきみと、
何でもないことで喧嘩して

なんだか気持ちがザワザワして
落ち込んで……。

帰宅すると、机の上にいただきものの
和菓子を見つける。

私は手を洗ってうがいをすると、
ダイニングに座って

その和菓子の包みを開く。

中からは薄桃色でコーティングされた
丸みのあるピーナッツの形に
似た菓子が現れる。

私はそのお菓子をかじり、
口に広がる苺の味を感じた。

いつもは私によく話し掛けてくれるのに、
他の女の子に優しくしているところを
見てしまったら、
ついつい冷たくあたってしまった。

優しい味に触れていたら、
気持ちが落ち着いて

自分が言ってしまったことを思い返す。

かじったところを見ると、
桃色の餡が覗いて
その可愛らしい色にはっとする。

自分はもう少し
素直になれたんじゃないかな、
そんなことを思った。

「あら、それ食べてたの？
美味しいわよね……」

「ごちそうさま」

帰ってきた母親が話し続けるのを遮って、
私は二階に駆け上がる。

鞄から携帯電話を取り出して、
電話していいかメールを送る。

いいよ、と返事があって
私はすぐに電話をかけた。

「あのね……さっきはごめん」

私は驚くほど素直に、想いを口にした。

あれから時が経ち、今は大切な人と、
一緒に食べたくなる。

みんなと笑顔で、
優しい気持ちでいたいから。