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職人心得⑦~今の仕事は天職だ!~

2016年12月14日 / blog, 職人心得

卓越した職人になるためにstart-point-536x400
・あなたは作る喜びを感じていますか?
・あなたは喜ばれる喜びを知っていますか?

 

一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、自分に質問するかのように
書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
または、新社会人の方たちに役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。

 

今回は、「今の仕事は天職だ!」というテーマで書きたいと思います。

 

菓子作りの技術が上達するたに、必要な要素がいろいろあると思うのですが

私が特に重要だと感じることが3つがあります。

 

それは

1,菓子作りが好きなこと、楽しめること。

2,目的を持つこと。

3,セルフイメージ。

 

1、は説明するまでもなく、「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように

菓子作りが好きな人、楽しめる人はやはり、積極性もあり、上達も早い。

 

2,は目的を持つことによって、必要な技術が明確になり、集中することがはっきりする。

目的を持つことで、モチベーションも上がり、情熱も沸いてきます。

例えば、「1級技能士に合格する」「コンテストで受賞する」

「○○○の人のための御菓子を開発する」「人に教えられるようになる」

「自分の店を開けるようになる」「この人について行きたい」などだ。

 

今日は3,の「セルフイメージ」にスポットを当てて書いて見ようと思います。

 

1や2がそろっていても、「セルフイメージ」が

「自分は不器用だ」とか「大事なところでいつも失敗する」

「私は人の足を引っ張ってしまう」「自信がない」「お金がない」「体が弱い」などの

ネガティブな思い込みを持っていると、

その思い込みが現実になってしまう。

それは単に幼い頃の経験や親などの発言が潜在意識にすり込まれ、

事実だと思い込んでいるだけなのに。

 

本当は、誰でも、必要なものは、すでに持っている。

もしくは作り出せる能力は持っているものなのだ。

 

でも、なかなか、渦中にいると、それに気づくことが出来ない。

逆に、「自分は器用だ」「私は才能がある」

「俺は人を喜ばすことができる」「今の仕事は天職だ!」などの

ポジティブな思い込み〈あえて思い込みと言おう)を持っていると

それが現実になっていく。

そう、これは単に「思い込み」が現実を作り出すということだ。

事実や真実なんて、一つだけでなく、いくらでもあるのだから

ポジティブな思い込みを持っていた方が、ぜったい得なのに。

 

今日も製菓学校で授業を行ってきた。

「これから、菓子の仕事に就いて、この仕事が自分の天職だ!と思えたら、幸せと思わない?」

と尋ねると、何人かの生徒はうなずいてくれていたので、共感してくれる方はいると思うのだが

私はこの仕事が天職だと感じられていることはとても幸せなことだと思っている。

 

そんなポジティブな思い込みを作るために、

・菓子を作る喜び

・喜ばれることに喜びを感じられる感性

 

を育ててもらいたいと思い、授業では

ゲーム感覚でこれらのことを体験できるように試行錯誤をしている。

 

特に、「喜ばれる喜び」を感じられるようになると

ドーパミンなどの「幸せホルモン」が脳内に分泌されてくるのが

よくわかる。じんわり、深いところに染みこんでいく、そんな感覚だ。

 

ここまでこれたら、もうあなたは、「天職の道」に入り口に入ったようなものだ。

この快感を感じられるようになれば、どんな困難であっても、乗り越えることが出来る。

 

もしも、あなたが、「天職の道」を進みだしたのかどうか心配であれば、

確かめる方法がある。

 

それは実際に、仕事を始めてみないと確かめることは出来ないが

 

この道を歩み出したら、きっとお客さんが心を開いて、いろいろ話しかけてくるようになる。

可愛がってくれるようになる。

 

自分もよく、修行中、配達先で「家に上がって、お茶でも飲んでいって」とか

可愛がられたりした。師匠もそうだったと言っていた。

 

他にも何人かそういう人間を知っている。

 

さあ、あなたも「今の仕事が天職だ!」という

強い思い込み、信念を持ち、

幸せホルモン全開になってみないか?

 

 

 

 

職人心得⑥~選ばれる人物になるために~

2015年7月10日 / blog, 職人心得

職人心得⑥~選ばれる人物になるために~52df3275c7e438d5e2f5ef349359e46b_m

 

卓越した職人になるために

・あなたはマーケティング能力をを持っていますか?

・あなたはチャンスを生かしていますか?

 

一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、自分に質問するかのように
書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
または、新社会人の方たちに役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。

 

今回は、「選ばれる人間になるために」というテーマで。

 

よく、「人と比較してはいけません」

「何かと比べてはいけません」

そうやって、教わって育ってきませんでしたか?

私もそうやって教えられました。

でも、本当でしょうか?

 

もちろん、これは正しいことです。

大人に、兄弟や友達と比較されたら、

嫌な気持ちになりますし、

前の彼氏、彼女と比べられたら、そりゃあ、頭にきますよね。

 

だから、自分自身は、比較をせずに、

その人ならではの良い部分を見つけて、付き合い、ゆるしていく、、、。

そうやって、人との関係性を築いていくものです。

 

でも、社会にでてみると、現実は、やはり、比較されてしまうものです。

いくら、「あの人はすぐ、人を比較する」と怒ったところで、

何も、前へは進みません。

そもそも、人間は相対的にものごとを比べなければ、理解できない生き物なのですから。

 

我々が作る和菓子にしても、その他の様々な商品は常に、

他の物と比べられながら、選ばれていきます。

 

就職するときも、そして、就職して働きだしてからも

社会の目から比較されて、生きていかなければ、ならないものなのです。

 

だから、そこは覚悟をして、「選ばれる努力」をしたほうが、良いはずです。

 

そこで、社会人となり、大切で必要となる能力が

「マーケティング能力」

”マーケティング”というと一般的には市場調査のようなイメージがありますが

私がここで言う「マーケティング能力」とは「選ばれ、必要とされる能力」のこと。

 

この能力が高ければ、就職も希望の職場で、選ばれることもできますし、

職場でも、今、この能力を持っている人が評価も高いはずです。

この能力が高ければ、コンテストなででも、選ばれやすくなりまし、

商品の販売能力も高くなり、結果的に収入も高くなるかもしれません。

 

 

現代は「情報過多の時代」と言われています。

 

10年前、20年前とは、比べようがないほど、

毎日、たくさんの情報の洪水にあふれています。

 

その中で、自分をまたは自分の商品を選んでもらうために、

これほど、「マーケティング能力」が必要な時代はないでしょう。

 

それでは、具体的にどんな人が、

「選ばれる人間」になれるのでしょうか?

 

私が尊敬する師から教わった話をご紹介しましょう。

次の7つのいづれかの要素が備わったときに、選ばれるという話です。

それは

  1. №1になる。№1である。
  2. ベネフィット(得られるメリット)で選ばれる。
  3. ストーリーで選ばれる。
  4. ビジョンで選ばれる。
  5. 関係性で選ばれる。
  6. 雰囲気や見た目で選ばれる。
  7. キャッチコピーで選ばれる。

これは商品で言われる話ですが

人材としても、共通していることです。

 

一つ一つ、説明すると長くなるので

最も、堅実なものをご紹介しましょう。

 

それは「関係性で選ばれる」です。

 

もしも、他の人と比較されず、選ばれるようになるには

「人間関係を築く」

ことを一生懸命すれば、いいのです。

職場であっても、礼儀、マナーを守った上での

家族のような関係、絆を深めればいいのです。

 

逆に、職場で、あまりコミュニケーションをとらない人は

やはり、比較されやすくなります。

 

最初は一生懸命コミュニケーションをとったが

だんだん、慣れてきて、周りの人に関心を持たなくなる人も多いものです。

 

しかし、コミュニケーションは一時的に行えば、

もう、OKというわけではありません。

家族であれば、切っても切れない血縁関係がありますが

職場の関係では、継続的に関係を築く努力を行っていなければ、

関係性は崩れてしまうものです。

 

だから、それなりの努力は必要ですが

これほど、堅実に選ばれる方法はないでしょう。

 

ただ、やはり、他の要素との合わせ技を持っていたほうが

より、確実なものとなるはずです。

 

さて、これまでは、一般的な社会人として

必要な能力について、語ってきましたが

ここからは、

「一流の職人」になるために、

または、あなたが、将来、自分の店を経営するという立場に

なろうとするのなら、なおのこと、必要な覚悟があります。

 

それは、「チャンスを生かす」ことができること。

 

私の師匠が菓子作りの修行していたころ、

そこの親方は、ある特殊な菓子を作るのは、いつも気まぐれで

仕事が終わった後、夜中になると、作り始めたそうです。

その技術を身に付けたい師匠は、

夜、いつも工場の明かりがつくかどうかを探っていたそうです。

そうして、明かりがつくと、工場に行き、作業を見させて

もらったそうです。

要は、そのくらいの覚悟のある人間にしか、この技術は教えないよ。

というテストのようなものだったのでしょう。

 

そんな話を教えてくれた師匠も

その菓子を作るのはいつも夜中。

 

そこまで付き合う覚悟のある奴には

教えても生かすことができるだろう。そんな無言のメッセージを感じたものです。

 

だから、午前様になろうが、定休日だろうが、どんな時でも

師匠に付き合って、思考からなんでも、盗み取ろうと

努力したものです。

 

いざ、チャンスという場面や、ここは頑張りどころ、という場面で

「趣味」や「プライベート」を優先してしまったり、

違うことばかり考えていて、チャンスに気づかなかったり、

関係性を築く大切な場面を断ってしまったりすると

信頼や期待を失ってしまうこともあります。

 

結婚をして、家族を持てば、プライベートを優先しなければ、

ならない場面も多々出てくると思いますが

 

独身の、特に若いうちに、「チャンスを生かす」ことのできる人間、

「チャンスを見極められる人間」が一流になっていくのだと思います。

さて、

あなたはチャンスを生かすことができていますか?

 

 

 

職人心得⑤~技術以上に必要なもの~

2014年9月6日 / blog, 職人心得

職人心得⑤~技術以上に必要なもの~Matcha

 

卓越した職人になるために

・あなたは「思いやり」を持って仕事をしていますか?

・あなたのこだわりは相手のためになっていますか?

 

一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、自分に質問するかのように
書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
または、新社会人の方たちに役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。

 

今回は和菓子業界に大きな貢献をされてきた

素晴らしい名匠の言葉をご紹介します。

その方は、いつもユーモアたっぷりに

技術の指導や業界の発展のために、活躍されています。

 

—-技術以上に必要なものがあるとしたら、なんだと思いますか?—–

 

名匠

思いやりですね。お菓子は作ろうと思えば、誰にだって作れるものです。

しかし、例えば、生あん1kgに砂糖600gときまっていても、水を使わずに

煉る人と、800gの水を使って煉った餡は、よく火が入り、粒子も細かくなり、

歩留りも良くなる。そして艶もあって日持ちもする。

でも、水を使わないで煉っ餡は、ざらついて歩留りも悪く、悪条件が揃います。

形にすれば、どちらの餡を使っても形は同じになるますよ。

でも食べると全然違う。

~~~~ただ単にノルマをこなしているような人の菓子が美味しくないのは

そこなんです。お客様に美味しいお菓子を作って喜んでもらいたい、

それはやっぱり相手を思いやる気持ちなんです。」

 

———————————————————————–

仕事を早く、終わりにしたい。

短い時間でたくさんの仕事を・・・

 

そんなことばかりが、頭に入っていると

一番大切なことを、忘れてしまうようです。

 

この名匠の例で言えば、

水を使わないで煉ったほうが

仕事は早く終わります。

 

でも、しっかり火が入る水を入れて煉れば

時間はかかりますが、美味しい餡が作れます。

 

特に、若いうちや、従業員という立場であったり、

製造だけで、直接、お客様と接する機会が少ない人などは

この「思いやり」という大切なところを

忘れてしまいます。

 

また、職人として、技術ばかりに意識がいっていると

お客さんが、特に喜ばないところまで、こだわってしまい

自己満足のような仕事になってしまったりします。

ここは、私も間違いを犯しやすいところです。

 

他にも、ある著名な実業家の言葉に

「空気が読めない人」「気が利かない人」は

そういう能力がないのではなく、

「思いやり」に欠けるだけだ。

というものがあります。

 

例えば、本当の意味で空気が読めず、気が付かないというのだったら、

人にどんなことを言われても、傷つかないというのです。

 

逆に言えば、「思いやり」を持てば、

「空気が読める人」「気が利く人」になれるわけです。

 

「思いやり」は技術以上に必要なもの

 

まさに、名言ですね。

職人心得④~あなたのゴールは?~

2014年8月27日 / blog, 職人心得

da1beb70f8e79f04667f1428f96cea04_m職人心得④~あなたのゴールは?~

 
卓越した職人になるために
・あなたのゴールはなんですか?
・あなたのゴール設定はまちがっていませんか?
・あなたは忍耐力はありますか?
・仕事とは修行である。

・あなたは人生を楽しみ、人を喜ばせていますか?

 
一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、自分に質問するかのように
書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
または、新社会人の方たちに役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。

 

われわれ菓子業界に限ったことではないようですが
就職してすぐ、挫折してしまう人がいます。

せっかく、その道を目指し、やっとなった職業を
数か月、または数年で辞めてしまうのはもったいないし、
和菓子業界を活気づけたい私としても、とても悲しい。

 

なぜ、そのようなことが起きるのか?

 

ひとつは「ゴール」を「その職業になる」ということに設定してしまっているからでしょう。

 

 

ほとんどの人は「ゴール」の設定を間違っている。

どういうかとかというと
「プロ野球選手になることが夢だった」という人と
「プロ野球選手になり、歴史に残る業績を残す」という目標を持っている人と
実際にどっちの人のほうが結果を出すと思うだろうか?

もちろん、イチローが代表するように後者でしょう。

ゴール【目標】はエネルギーである。

 

ゴールを「その職業になる」に設定していれば、

その職業に就いた時点で達成してしまっているのだから

もう、そこにエネルギーはない。

その職業に就いただけで満足してしまい、

学ぶことを止めてしまう。

ちょっとした試練や困難に挫折してしまう。

または、ちょっとした誘惑に負けてしまう、、、、、

 

 

だから、目標を「〇〇の職業に就く」というのではなくて
その先にその職業に就いて、「何をしたいか?」を
考えて、それを、強く望むことによって
あなたがどれだけ打たれ強くなれるか、が決まってくるはずなのです。

 

例えば、
「〇年後までに自分のお店を持ち、たくさんの人に喜ばれる繁盛店にする」
「一流の職人になり、業界で一目置かれる人間になりたい」
「たくさんの人に喜んでもらえる菓子を作りたい」

これは、建前上、言うという程度の話ではない。
よく、面接で「御社の理念に共感しまして」という
人は多いと思うが、これは目的が「採用されるため」であり
本気で自分が望むゴールであることは少ない。

もちろん、職場のミッション(使命)やゴール(目標)も
当然のことながら、一緒に目指し、本気で望むゴールにしてもらわなければ困る。
ただ、そのゴールは経営者が
日々、情熱を込めて伝え続けることをしなければ
確信的なものにはなっていかないだろう。
押し付けられたゴールではなく、自分から望むゴールにならなければ、
真剣に取り組むことはできない。

それとは同時に、自分のゴールを持つことが大切だ。

そもそも、どんなふうになりたいのかが

明確でなければ、職場自体の選択を間違ってしまう場合だってある。

 

忘れてはいけないことは

『目的』だ。

仕事は「自分を成長させるための最高の修行の場」である。

仕事の最大の目的は

『自分の成長を楽しむ』ことだ。

もちろん、つらいこと、悲しい出来事もたくさんあるだろう。

でも、それは自分の成長のために必要なものなのだ。

つらいからといって、逃げ出してしまったら

成長にはつながらない。

「忍耐」と「継続」はとても大切なものだ。

 

 

最後に、

カルビン・クーリッジ大統領の名言を紹介しよう。

 

「何かを成し遂げるのに、粘り強さほど大切なものはない。才能があっても、それを生かせない人が何と多いことか。一生を報われないまま終わる天才というのもよく聞く話だ。固い決意と粘り強さがひとつになったとき初めて、不可能が可能になるのである」

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職人心得③~仕事はなめたら終わり~

2014年4月5日 / blog, 職人心得

sigoto職人心得③~仕事はなめたら終わり~
卓越した職人になるために
・あなたは先輩や上司を尊敬してますか?
・あなたは仕事に対する「覚悟」はできていますか?
・あなたは誠実に仕事をしていますか?
・あなたの『礼節やマナー』は恥ずかしいものではないですか?
・自分が出している波動を意識していますか?

一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、自分に質問するかのように
書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
または、新社会人の方たちに役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。

 

久しぶりの「職人の心得」シリーズです。

もしも、あなたが、仕事を取り組んでいく中で

「仕事ってこんなものか」

そんな風に思ってしまったら

もうその仕事を続けることはやめたほうが良いかもしれません。

 

その時、すでにあなたは仕事に対する『誠実さ』を失っているからです。

どんなにあなたがその仕事の能力があり、覚えが早かったとしても。

 

私は師匠に、仕事で最も大事なのは

「情熱」だと教わりました。

技術は後からついてくる。

「情熱」を持っていれば、それは菓子に伝わり、

お客さんにも伝わる。

その「情熱」がお客さんを喜ばせる力になると。

 

自分自身、自分の店に入りたての頃、

今思えば、恥ずかしいような技術力でしたが

それでも、その情熱に吸い寄せられるように

お客様が集まり、喜んでいただいたのを覚えています。

 

ただ、今はその「情熱」以前に

もっと重要なのは仕事への『誠実さ』

そして『礼節やマナー』だと感じています。

 

どんなに新人で、まったく知識がなかったとしても

お給料をもらった時点であなたはもうプロとして

仕事をしなければなりません。

そこには大きな「責任」が伴っています。

中途半端な気持ちで仕事を行うことは、

経営者に対しても、お客さんに対しても失礼です。

そういう『覚悟』がどれだけできているか。

ぜひ、胸に手を当てて考えていただきたい。

 

それでは

その『覚悟』はどのように高めたら良いのでしょうか?

 

私はそれは先輩や上司に対する「尊敬」の気持ちや

「礼節やマナー」を重んじることからだと

思っています。

 

仕事に対する覚悟と

尊敬や礼節、マナーは別の話だ。

そんな風に思っていませんか?

 

そんな風に感じてしまっているとしたら

あなたはものすごく小さな世界でしか

物事を見ることができていないかもしれません。

 

「心構え」はとても重要です。

見た目は同じことでも

伝わることは全く変わってしまいます。

職場に対する尊敬や礼節、マナーが

あなたの覚悟の鏡であるからです。

 

 

お客様にたいしてはもちろんのこと

上司や先輩に対する言葉づかいや

挨拶(ちゃんと相手の顔を見て)や態度

気遣いの言葉など、

こういう基本的なところを

どれだけ徹底的にちゃんと取り組んでいるかで

「覚悟」の度合いが変わってくるからです。

 

逆にこういう基本的なところをできていない人は

確実に覚悟が足りなく、誠実さにかけます。

 

今の風潮は上司や先輩のほうが

後輩への配慮や声掛け、気遣いを行わないと

いけないように感じてしまいます。

 

後輩やスタッフに対し、

仕事がやりやすいように配慮し、

優しい声をかけ、

長所を伸ばして、短所は目をつぶる。

もちろん、これも大切なことではあるけれども

それは、ちゃんと相手が「礼節やマナー」を守れているという

前提のもとで、初めて成り立つものです。

 

同業者のあるお店のオーナーが

新人のスタッフに対し、初めに思いっきり、能力を否定する。

という話を聞いたことがあります。

 

「否定する」ということが正しいかどうかは別として

はじめに縦の関係を作っておく。という

「礼節やマナー」を守らせるには

手っ取り早い方法を経験の中からやっているんだろうな。

とは今になって思い出します。

 

同じ方法は私にはできませんが

「礼節やマナー」を守ることは

基本中の基本として徹底しなければならない。

逆に「礼節やマナー」を守れる人が

職場に必要とされている。

 

「人を尊敬することのできない人間は、人生で本当に大切なことを気づくことができない」

まさにこの言葉の通りです。

そう、強く思います。

 

初めから「礼節やマナー」を徹底していなければ、

あとになって、ちゃんとしようとしても

残念ながら、一度狂った歯車は

よほどの奇跡でも起こらない限り、直すことはできません。

悔しいけれど、それが現実です。

 

「尊敬」や「誠実さ」を失った人間が出す波動は

その場の空気をとても悪くします。

どんなに表面上、取り繕っているようでも

一生懸命取り組んでいるようでも

波動は隠すことができません。

 

あなたはどんな波動を出しているか気づいていますか?

 

 

 

 

 

 

読書感想文

2013年8月20日 / 職人心得, 親バカ日記

1308yoshida_vol1_2-thumb-600xauto-201夏休みも後半。

 

小学生の子供を持つ親は宿題のはかどり具合が

とても気になる時期ですね。

 

 

我が家の子供たちも追い込みで

私は読書感想文を見ることになりました。

 

 

ここで、職人の心得にも通じるお話をしたいと思います。

 

 

脳力開発を教える久家邦彦さんに教えていただいたことで、

「成果を出すための教えるコツ」というものがあります。

 

それは次の4つのことを意識させ、

考えさせながら教えるのです。

 

①why(なぜ?)、目的

②what(何を)、目標

③How to(方法)、やり方

④Do it now(今すぐすること)

 

 

もちろん、小学生相手に「目的は?」「目標は?」と聞いても

「?????」

となってしまうでしょうから、教える側が

上記の4つを意識して、教えてあげればいいのです。

 

例えば、私の場合、①の目的は

・自分の考えや感想を文字化する力を身につけさせる。

・ゴールから考える癖をつけさせる。

・全体像をつかむ力を身につけさせる。

・本を読み、書く喜びを体験させる。 などなど。

 

4つの中で最も大事なのがこの①「目的」です。

 

例えば、目的が「宿題を早く終わらせる」

であれば、ほとんど、手伝ってしまうことだってあるかもしれませんし、

「入賞させる」ことを目的にするならば、子供が感じたことを

大きく変更させたり、厳しいことを言わなければならないかもしれません。

目的自体が曖昧であれば、子供を振り回す発言しか言えなくなるかもしれません。

目的が間違っていれば、違う方向に導いてしまうかもしれません。

 

仕事、職人の技術に関しても同じです。

「なぜ、このやり方なのか?」

「なぜ、これをするのか?」

目的が明確であれば、応用、汎用もききます。

言われたことしかできない。なんてこともなくなります。

 

 

「なぜ?」whyは仕事もコミュニケーションも教育も

とても大切なんですね。

 

長くなるので今日はこの辺で。

続きは後日。

 

えっ。子供の読書感想文はどうしたって?

もちろん、完成しましたよ。

 

 

本人曰く、「お父さんはいい質問するんだよなあ」

「いいのができたよ」「入賞しちゃうかもね」

 

 

残念ながら直接、言ってくれないのはさびしいけれど、

とても嬉しい言葉をいただきました。

 

ただ……。

 

本人はとても納得して書き上げたようですが

入賞するにはちょっと、……。

変わった感想だったんです。

個性を大事にしました(笑)

 

 

 

 

 

 

職人心得  ~興味・関心を持つ~

2012年7月19日 / 職人心得

職人心得①
卓越した職人になるために
・「興味」と「関心」を強く持ち、それをいつまでも持続しよう。
・ハングリー精神を育てよう。
・遠慮、恥ずかしさを乗り越える「情熱」を持とう。

一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。
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さて、よく「職人の技は目で見て盗め」と言います。
昔の職人さんは技術や配合を積極的には教えてくれませんでした。
職人個人の立場で言えば「自分のポジションを守る」とか
店主としたら「お店以外に独自の製法が出回るのを防ぐ」など
いろいろ理由があったでしょう。
私が修行した店主(師匠)は比較的オープンに何でも教えていただきましたし、
むしろ、”積極的”に修行後も教えて下さいました。
これは感謝してもしきれないほど、有難いことでした。
それでもそこの職人さんは
絶対、その本人でしかわからないような計量の仕方で
聞いてもあいまいな表現で濁すこともありました。
私もそれは当然と思っていましたし、
だからこそ、「目で盗む」という意識で必死に観察したものです。
現在は時代も変わり、専門学校では懇切丁寧に教えてもらえ、
理論的にもわかりやすく、菓子の作り方を教えてもらえます。
実際に現在の専門学校を卒業した生徒は
私たちが20代の初めのころの技術力より、はるかに上手です。
さらに現場のお店としても早く仕事を覚えてもらいたいですから
丁寧に教えたり、マニュアル化を進めたりします。
しかし、現在は「最初からいろいろと与えられている」がために
「新鮮に感じない」「興味・関心がわかない」という
現象が起きてしまっているように感じるのです。
仕事をしていて、「新鮮さ」を感じれば、目が輝きます。
「興味」「関心」が強くあれば、店主や先輩に質問したくなります。
目を輝かして、質問されれば、教える側もそりゃーうれしいですよね。
はりきって教えたくなります。
もちろん、若いうちは遠慮や恥ずかしさから質問をひかえてしまっているというのもあるでしょう。
でもその遠慮や恥ずかしさを乗り越える「情熱」を持ってもらいたい。
ぜひとも、「なぜ?」「何?」をつねに意識してもらいたい。
「なぜ、これをするのか?」
「何に焦点を合わせているのか?」
「何が重要か?」
「なぜ?」を知っていれば、違うパターンでも応用が利きます。
「何?」を知っていれば、集中する場所がわかります。
「仕事ができない人間とは言われたこともできない人と
言われたことしかできない人だ」

この格言の人間にならないよう、特に若いうちはどんどん質問しよう。
とにかく、貪欲にハングリー精神で。
恥ずかしがることなどない。
遠慮することなどない。
職人の技術は数をこなさないと質は上がらない。
そして質問も数をこなさなければ、質が上がらない。
質問の質が上がれば人生も向上する。
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まとめ
卓越した職人になるために
・「興味」と「関心」を強く持ち、それをいつまでも持続しよう。
・ハングリー精神を育てよう。
・遠慮、恥ずかしさを乗り越える「情熱」を持とう。

職人心得~可愛がられる人間になる~

2012年7月30日 / 職人心得

職人心得②
卓越した職人になるために
・あなたは先輩や上司、師匠に可愛がられていますか?
・あなたの返事、挨拶は元気(活気)がありますか?
・自分の機嫌は自分で管理していますか?
・素直さ、謙虚さを持っていますか?

一流の和菓子職人になるために
そして、多くの人々に求められる良き商人であるために
さらなる向上と自分への戒めを込めまして
自分が学び、気づいたこと、目指すこと、心がけていることなどを
思いつくまま、自分に質問するかのように
書き記したいと思います。
あわよくば、この文章が職人の道を歩く若者に
役に立ってくれれば、さらにうれしいと思います。
大間々の歴史1
当然のことながら、仕事を、初めから何でもできる人間なんていません。
まずはわかっている先輩や上司、師匠から教えてもらうわけです。
その先輩や上司、師匠から、可愛がられることは
成長の近道であることに間違いはありません。
もちろん、その先輩や上司、師匠が
仕事への情熱があり、誠実な人間である。という前提はあると思いますが。
そこでまず大事なのが
「返事や挨拶に元気(活気)があること」です。
前回のブログでも書きましたが
仕事に情熱を持っている人間は
目が輝き、強い興味を持っている相手には
積極的に教えたくなるものだからです。
それをわかりやすい態度で示す方法が
返事や挨拶に元気(活気)があることです。
当たり前のことではありますが
できていない人は多いものです。
なぜ、当たり前の大事なことができないのか?
大きな理由の一つが「自分の機嫌を管理していない」ことです。
日々生活していれば、良いことも悪いこともあります。
その原因を他人や環境のせいにすれば
当然、不機嫌になります。
または自分の機嫌が周りにどのような影響を与えているのか
考えてもいない人もいるかもしれません。
信じられないかもしれませんが
作る人の心は作るもの(菓子)にも入り、味覚以外のものが
食した人にも伝わります。
情熱を持ち、食べる人に喜んでもらいたい。という強い気持ちがあれば
例え、技術的にはまだまだでも
お客さんの心に響くものが必ずあるものなのです。
これは経験的に実感している確かなものです。
逆に技術はあっても、惰性や不機嫌な気持ちで作ったものは
食べる人の心に響かないものになってしまいます。
「食する人に喜んでもらいたい」という強い気持ちを持ち、
自分の機嫌は自分で管理する。
これはとても大切なことなので
声を大にして伝えたいことです。
そして、素直さ、謙虚さを持つということは
可愛がられる人間の必至条件でしょう。
人間の最も高い欲求の一つが
「重要人物であらんと欲する欲求」だそうです。
しかも、「渇望しているにも関わらず、与えられる機会は少ない」とも。
もしも、あなたが先輩、上司、師匠から可愛がられたいなら。
もちろん、どんな人間関係であっても良好にしたいのであれば
相手を重要な存在であるように接することです。
そして、それを態度に示すことで大切なのが
「素直さ」と「謙虚さ」でしょう。
もちろん、「自分も重要な人間である」という土台の上に
あることも大切ですが。
あんどーなつ
まとめ
卓越した職人になるために
・あなたは先輩や上司、師匠に可愛がられていますか?
・あなたの返事、挨拶は元気(活気)がありますか?
・自分の機嫌は自分で管理していますか?
・素直さ、謙虚さを持っていますか?

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