西の魔女が死んだ
2008年8月03日 / 読書
西の魔女が死んだ (新潮文庫) (2001/07) 梨木 香歩 |
最初からとてもリアルに主人公の見える情景が目の前に五感を通して伝わってきて
物語の世界へあっという間に吸い込まれてしまった。
主人公「まい」は感受性が強く、生きにくいタイプの子。
それが自分の子供の頃にもかぶって、どんどんこの物語に引き込まれてしまう。
現代の人間がたくさんのものを得た代わりに
失ってしまったものをもう一度思い出させてくれる。
そんな物語。
敏感で真っ直ぐであるがために学校(社会)になじめない主人公が
田舎のおばあちゃんと自然の中で暮らすことによって学ぶ、
人が長い間に自然から教わり先人から受け継がれてきた生活の知恵や基本。
規則正しい生活をすることによって生命のリズムに目覚める主人公「まい」
ものすごく当たり前のことではあるけれども
一朝一夕でできることではない魔女修行。
現代の能力開発にものすごくかぶる部分があると思う。
おばあちゃんの「生きること」「死ぬこと」の考えが
ものすごく説得力があり、心の深いところに浸みこんでゆく。
幸せに生きていくための道しるべになってくれる。
映画化されて、都市部ではもう公開されているようですが
群馬ではまだ始まっていないようです。
うちの子には少々早い内容かもしれませんが
家族で観てこの映画から受け取ったものを
話し合えるとより大きな学びが得られるとだろうなあ。
感動のラスト。
涙がこらえられませんでした。
悲しいことではあるけれども
すっきりした気持ちになれました。
こんなに気持ちのいい余韻が
いつまでも残るこの本に出合えたことは
最高の幸福ですね。