本日の和菓子ギャラリー
2010年2月15日 / 菓子
「こんな感じのお菓子で中あんをピンク色にして作れますか?」
1冊の茶の湯の本を持って、そんな会話から始まりました。
その方はマニアックなほど、いろいろこだわり、詳しい方で
もう何度も茶席のご注文をいただいています。
写真のお菓子は葛を薄く、四角に伸したものの中にこしあんを入れ、
ふくさ包みにしたシンプルなものでした。
「ちょうど、使うのが2月14日のバレンタインデーなので
愛情を包み込むようなイメージで」
「可能なら、中あんをハートの形にするとか……」
「葛をこういう薄い生地で作ったことないなあ」と私。
「じゃあ、○日に打ち合わせがあるから、その日に○個作って下さい」
とご注文をいただきました。
打ち合わせ日に私が作ったのは2種類。
こしあんをピンクの薯蕷(じょうよ)あんで包み、
葛の薄い四角に伸した種でふくさ包みにし、
閉じ口にハートの煉切を添え、
「恋文」(ラブレター)風に仕上げたものと
ハートの形のあんと言うのは形が残りにくいので、
ピンク色でハート型の羊羹と、黄色で浮島の流し合わせを中にいれ、
やはり、葛でふくさ包みにしたものを作りました。
結果、薯蕷あんは夏に作った「水ぼたん」というお菓子と味が同じになるので
今回は違った趣向で羊羹と浮島の流し合わせで。
形はハートでなく、丸くて良いとのこと。
閉じ口は”恋文”風のハートの煉切を、とのこと。
この葛種を作るのが苦労しました。
見本作りを、休日の早朝から一日がかりで試行錯誤。
初挑戦で、作り方を一度も見たこともない製法をするというのが
こんなに大変だとは……。
その苦労して完成したお菓子がこちら。
菓子銘は先方のご希望で「佐保姫」(さおひめ)
春の造化をつかさどる女神の名です。