なめらかで、口いっぱいに芋の風味が広がる。
小倉章弘です。
上生菓子を100倍楽しむために、
製法という視点から紹介しています。
今日ご紹介する製法は
「薯蕷(じょうよ)きんとん」
個人的には最も思い入れのある上生菓子です。
なぜなら、私が初めて作った上生菓子が
薯蕷きんとんの「菜の花」という御菓子だったからです。
修行を始めて、まだ、間もない頃、
まだ、右も左もわからないような若造に
こんな格式高い御菓子を作らせていただける
うれしさと怖さという複雑な気持ちは
今でも初心を大切にするつもりで覚えています。
そして、あの食べた時の口解けや口いっぱいに広がる芋の風味は
忘れがたき、思い出です。
そんな想いは伝わるのでしょうか。
当店では、上生菓子でもこの薯蕷きんとんはとても評判が良いですね。
作り方としては
大和芋の皮をむき、蒸したものを2~3回裏ごしをし、なめらかにします。
そして、砂糖と混ぜておきます。
これと餡を合わせて煉ったものがきんとん餡です。
篩でそぼろにしたものを
粒あんなど、餡を芯にして丸く箸でつけたものです。
その季節によって、色合いを変えて
様々なものを表現します。
写真は餡を黄色く染めて、
「ひまわり」を表現しました。
他にも餡に寒天を加えて作る”きんとん”もあります。
いくらか透き通ったような餡のものがそれにあたります。
しかし、
品格や色彩、風味という点では、薯蕷きんとんには到底かないません。
あなたもこの感動、味わってみましたか?